プロが解く女性と鍼灸①【食養生】 6つのタイプ別:症状を改善する食材解説!

 カテゴリー:鍼灸で全身ケア
食養生

漢方には誰もが日常でできる「食養生」という考え方があり、イキイキ健康にすごせるように日常生活の中で食に配慮し、適度な運動を取り入れるなどを行います。

この記事では、体質ごとに6つのタイプに分け、症状を改善する食材をご紹介します。食養生の基本を知り、毎日の食事でも、ご自身のタイプに合わせた食材を選んでみてくださいね。

目次

漢方の「薬膳」と「食養生」

食養生は聞いたことがなくても、「薬膳」なら食べたことがある、という方も多そうです。薬膳には珍しい食材や生薬を使った、特別な料理のようなイメージがあり、なかなか日常的に食べることはできなさそうです。

しかし薬膳も食養生も、体に配慮した食事であることは同じ。どちらもバランスをとるという考え方に基づいて食材を選ぶ、古来からの健康管理法です。わざわざ薬膳料理のお店に行かなくても、毎日のメニューを考えるときに体質に合ったものが選べるようになれば、それだけでも食養生になります。

食養生で女性の不調は改善できる?

漢方では、人の体も自然の仕組みと同じ、陰陽五行のバランスで成り立っていると考えています。

冷えすぎる熱すぎるといった「すぎる」状態はバランスが崩れた状態。体に不調となって現れます。漢方の食養生では、食べ物の持つ働きにより、熱いときは冷やし、冷える時は温めます。また不足しているものを補い、過多になり停滞している場合には巡りを促す食べ物を食べ、体内のバランスをとっていきます。

温まりたいときに生姜湯を飲んだり、むくみ解消にスイカや冬瓜(とうがん)を食べて利尿作用を活用したりする「生活の知恵」は、食養生からきている方法なんですよ。

それでは、漢方の食養生の「陰陽五行」について詳しく見ていきましょう。

漢方の陰陽と食への応用

陰陽とは、天に対して地、夜と昼、寒に対しては熱、といった相反する2つが対になり、バランスをとって存在している現象をいいます。

私たちの体でいえば、体の表面は「陽」内臓は「陰」に属します。同じ内臓でも上半身にある心臓や肺は「陽」下半身にある腹部は「陰」になります。陰と陽が互いにバランスをとることで、一つの生命体が成り立っているという理解をしていくのが漢方の考え方です。

体内では、臓器を動かす力(漢方ではこれを「気」と呼びます)を「陽」、各臓器と栄養を「陰」と考えます。陰と陽のバランスは常に変化しています。健康な時は自分の力で体内のバランスを取れますが、バランスが崩れても回復できなくなれば「未病(放置すると病気になる状態)」となります。

体の状態をしっかり確認し、その不調が「陽の不調」か「陰の不調」かを知れば、逆の性質を持つ食べ物でバランスを取り戻せると食養生では考えられています。

漢方の食に関する五行と四性

五行の木・火・土・金・水には、「季節」「五臓」「五味」がこれに対応します。また、体を温める冷やす性質を表す「四性(寒・涼・〈平〉・温・熱)」も重要です。(※平性とは、「寒」と「熱」どちらの性質でもないものを指します。四性の欄で解説いたしますね)

 

五味の働きと作用 

体に気を巡らせたり、水分をため込んだりの作用をもつのが五味です。他にも「うまみ」や「渋み」もありますが、ここでは五味の作用を見ていきましょう。

五行
季節 土用
五臓
(自律神経)

(心臓・意識)

(消化吸収・代謝)

(呼吸・皮膚)

(生殖・泌尿器)
五味 カン(塩味)

食材はそれぞれ「昇降」「収散」「潤燥」という性質をもち、体に与える影響により分類されます。

漢方の言葉には難しいものもありますが、それぞれ「昇らせる / 降ろす」「収れんする(引き締める) / 発散する(散らす)」「潤す / 乾燥する」の意味です。

たとえば「梨」は「潤す」性質をもち、秋の乾燥によるのどの渇きを潤してくれます。お肌がカサカサの方は、「潤す」性質の食材をとると、肌の回復に役立ちます。

逆に、梅雨時期にむくみやすい水太り体質の方には、「潤す」性質のある食材(牛乳、トマトなど)は不向き。余分な水分を排泄することと逆の食材だからです。このように、食材の性質を知れば、美肌や体質改善にも役立てることができます。

それを五味に対応させると、以下のようになります。


酸味:「収れん作用」
酸っぱい味(梅、酢、レモンなど)。毛穴を引き締め、汗をかきすぎないようにする働き。

苦味:「燥湿作用」
苦い味(にがうり、ごぼうなど)。体の余分な水分を排泄する。

甘味:「滋養作用」
甘い味。(さつまいも、かぼちゃなど) 

辛味:「発散作用」
辛い味(しょうが、大根、ネギ)。発汗させ、寒気を追い払う。

鹹(かん)味:「軟堅作用」
しお味(塩、こんぶなど)


たとえば、春の「木の芽時」には、精神的なイライラやくよくよが起こりがちです。この時期は青物野菜をとり、春の伸びてゆくパワーを取り入れましょう。「肝」の働きが旺盛になりますので、酸味を少なくとり、甘味を増やして消化器系をいたわりたい時期でもあります。

夏は体温を逃すために体の表面の毛細血管が広がり、胃腸が虚血(臓器に栄養が十分に行きわたらない状態)になり、冷えていきます。そのため、冷たいもののとりすぎは控え、しょうがなど温性の食材を程よく取り入れて食欲不振を防ぎます。また、なすやキュウリなど水分の多い旬の野菜は、体にこもった熱を取り除いてくれます。

 

四性 体を温める「熱・温」体を冷やす「寒・涼」

次は四性のお話です。

食べ物には体を温めたり冷やしたりする性質が備わっています。涼性の食品より寒性の食品の方が体を冷やします。体が熱を持った状態のときは、体を冷やす食品をとります。また、温性の食品より熱性の食品は冷えた体をよく温めます。スパイスではハッカ以外は熱か温の性質を持っています。

体内の冷えや・熱の状態を考え、「四性」をうまく取り入れましょう。

寒性 涼性 平性 温性 熱性
なすび・大根・スイカ・夏野菜・ひじきなど そば・リンゴなど 米・キャベツ・ブロッコリーなど 牛肉・もも・サクランボなど 羊肉・シナモン・唐辛子・くるみなど

寒に向かうほど陰の性質を持ち、熱に向かうほど陽の性質をもちます。なお平性とは、「寒」と「熱」どちらの性質でもない、体にとてもやさしい食材です。


自分の体の体質を知ろう 6つのタイプ!

漢方では、体の中を流れる気血水(きけつすい)のバランスが取れている状態を健康、バランスが崩れている状態を不調や病気と考えます。

食養生をする前に、自分のバランスが崩れている場所を知ることが大切です。体質もありますが、時期や季節の影響を受けることもあります。不調の場所や感じ方が変わったときは、体質が変わることもあります。「自分はこの体質」と固執せず、柔軟に対応してくださいね。

自分の体質を知り、何となく不調を感じた時は、食事に注意することで体内のバランスの崩れを治し、病気になるのを防ぎましょう。

 タイプ① 気と血の不足

◆気と血が不足した虚弱な「気血両虚(きけつりょうきょ)体質」

【症状・特徴】気と血両方が不足すると、気血両虚となる、顔色が悪く、クヨクヨとものを考えてしまうことが多い。疲れやすく、少し動くと息切れがする、

(気虚)気が不足 胃下垂、慢性の胃腸炎になりやすい
(血虚)血が不足 めまいがする、月経量が少ない、睡眠中に中途覚醒がある

【おすすめ食材】なつめ・豚肉・レバー・卵・鶏肉・りんご・ハチミツ・しょうが・山芋・大豆・大豆製品 などを少量で回数を多くしてとるとよいでしょう。

【避けるべき食材】生もの・冷たいもの、漢方の人参・牛乳・乳製品・ごぼうなど食物繊維が多いもの、香辛料は控えましょう。

タイプ② 生活習慣の乱れ 

食べすぎからくる体質もあります。ダイエットが必要ですが、失敗して意欲が低下しないよう、食事量を減らすのではなく、カロリーを落としましょう。

◆日常的な食べすぎで老廃物が体内に蓄積した「食積痰湿(しょくせきたんしつ)体質」

【症状・特徴】 食べ物からとった水分を処理しきれず、体内に水がたまって体内で水が滞ります。胃もたれ、お腹が張る、粘り気のある便で便秘気味。粘り気のある痰がでる。糖尿病、肥満。

咳や痰が多く、軽い運動でも息苦しい、疲れやすく、目の奥が痛い、月経の周期が不定期、経血に粘りがある、足がだるい。

【おすすめ食材】冬瓜・きゅうり・じゃがいも・ゴーヤ・すいか・鱧・アサリ・ハト麦・山芋・グレープフルーツなど、熱をとって利尿をうながすものを少量ずつとるとよい。

【避けるべき食材】牛乳・乳製品・メロン・ニンニク・唐辛子・甘いもの・冷たいもの・生もの・消化のしにくいもの・食物繊維が多いもの・キノコ

食養生

タイプ③ 気と血が滞る

気や血が滞るとイライラする症状が現れます。気の上下や巡りをよくし、血の巡りもスムーズになるように、食材を選びます。イライラは本人が何よりもつらい思いをします。体内の熱に注目して、バランスの取れる食材を取ってください。

◆気が上がりすぎてイライラし怒りっぽい「肝陽亢盛(かんようこうせい)体質」

【症状・特徴】気の巡りを調整する「肝」に余計な熱が生じ、調整機能が十分に働かず、ストレスやイライラで熱が生じやすくなります。

がっしり型か、肥満タイプで、赤ら顔、月経の量が多く色が濃い、便が固く便秘気味、高血圧、頭痛、めまい、肝炎、なかなか眠れないなどの症状があります。

【おすすめ食材】梨・バナナ・すいか・柿・トマト・きゅうり・ゴーヤ・豆腐・のり・そばなど、和食で魚を中心とした食事がおすすめです。寒性食材を取り入れましょう。

【避けるべき食材】もも・サクランボ・羊肉・気を巡らせる作用がある・カレーや香辛料、香菜・漢方の人参。温・熱性食材は避けましょう。

タイプ④ 気と血の巡りが悪い

 ◆気の巡りと血の巡りが悪い「気滞うっ血(きたいうっけつ)体質」

【症状】神経質で繊細なため不安定でクヨクヨします。イライラしても怒りを自分の中に閉じ込めてしまうことがあります。手足の先の冷えがあり、お腹が張って苦しい。

(気滞) 気が滞る、イライラ、胸が苦しい、食欲不振、腹痛、胸やけ、片頭痛
(うっ血)血が滞る、肌荒れ、爪が割れる、体に針をさすような痛みを感じる、月経不順、月経痛

【おすすめ食材】春うこん・クチナシの実・陳皮など、「肝」が熱をもつとイライラするため、こもった熱を解消し気の巡りをよくします。血の流れを改善するためには、黒きくらげ・大豆・ジャスミンティー・大根・ハッカを取りましょう。

【避けるべき食材】体を温める香辛料や、体に熱をためる甘いものは避けてください。酸っぱいものも避けましょう。

【ワンポイント】手足の冷えを温めるより、気を巡らせて「気滞」を解消すると体が温まってきます。温性の食材は逆効果なので取らないようにします。

 食養生する女性

タイプ⑤ 陰陽のバランスが崩れ、陰が不足

体は陰と陽でなりたっています。陽と陰どちらかが極限まで弱まり、それぞれをつなぐ力がなくなると死に至ります。バランスは本当に大切です。自分で改善できるように知識をもっていただきたいと考えています。

体の陰陽のバランスが崩れ陰が不足した「陰虚(いんきょ)体質

【症状・特徴】 大量の発汗や、大出血、日常的に睡眠不足、心配事があるなどで陰が不足し、陽が過多になった状態です。

咳、便秘と下痢を繰り返す、めまい、眠りが浅い、足腰がだるい、口が乾く、怒りっぽい、
微熱がでる、精神不安、よくしゃべる・皮膚が乾燥するなど、やせ型が多く見られます。

【おすすめ食材】豆腐・豚足・ハチミツ・牛乳・ゆり根・イチゴ・卵・豚肉の赤身・バナナ・梨・お粥

【避けるべき食材】香辛料・ごぼう・タケノコ・鹿肉・クルミ・シソの葉・あずき・シナモン

 

タイプ⑥ 陰陽のバランスが崩れ、陽が不足

体の陰陽のバランスが崩れ陽が不足した「陽虚(ようきょ)体質

【症状・特徴】陽の気が不足しているため体温調整ができず体全体が冷えるのが特徴です。

体が冷えて痛む、腎炎、口数が少ない、食欲がない、足腰がだるい、つかれやすい、月経時顔や手足にむくみが出る、陽虚の人は月経は遅れがちです。

【おすすめ食材】シナモン・ショウガで体を温める。漢方の人参・お粥・半熟卵

【避けるべき食材】生もの・梨・バナナ・オレンジ・グレープフルーツ・タケノコ・冬瓜・

セロリ・ほうれん草・大根・タコ・カニ・乳製品。冷え性が考えられるため体を冷やす食材は避けましょう。

食養生で気を付けること

漢方の養生食には、日本でずっと食べて来られた米や穀類の和食が向いています。このとき、主食の穀類を6割、野菜を3割、魚や肉を1割の割合でとるのがよいでしょう。

気のエネルギーは朝つくられるため、朝ご飯はしっかりとりましょう。昼は外食やコンビニで済ませる方も多いかもしれませんが、理想はいろいろなものをまんべんなく食べることです。そしてエネルギーを抑えて休息に入る夜の食事は控えめに。

五味はバランスよくとります。好みで味が偏ってしまうことがありますが、偏りは不調の原因。塩辛いものをたくさん食べると、むくみや高血圧の原因になりますよね。食材を注意して選んでも、味付けが偏ってしまうのは本末転倒。バランスの良い味付けで食事をしましょう。辛みは刺激物が多いところ、特に注意してくださいね。

粉、油、砂糖の取りすぎにも注意が必要です。たとえばケーキは砂糖と粉(小麦粉)と油(バター・クリーム)でできています。スイーツは心を癒やしてくれますが、食養生の視点からは控えめが得策。やさしい味のサツマイモや、果物で甘みをとる日も作ってください。

福原からのアドバイス

すぐ病院にいけなかった昔は、「病気にならないようにする」ことが何より大切でした。「医食同源」という言葉がある通り、食養生は予防医学でもあったのです。そして、それは今も変わりません。体を労わる食べ物をとることと、適度な運動はともに養生なのです。

 もし、今すでに感じる不調があれば一度、ハミングを訪ねてください。自分のタイプを自分で見極められない方も、ご相談くださいね。さまざまな観点から、あなたのタイプを探らせていただきます。ちょっとした不調は「食養生」で改善できますが、心配な不調はサロンで回復させ、リセットしてから、食養生を始めるのが効果的ですよ。

あなたの元気を維持するお手伝いをさせていただきます。

(参考:女性のための東方養生新書 海苑社 編著:梁 晨千鶴

 

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